当院のコンセプト

3大疾病と5大がんについて

2024年の厚生労働省「人口動態統計」によると日本人の死因の中で、老衰を除くと、1位が 悪性新生物23.9%(以下、大部分を占める上皮性の悪性腫瘍である「がん」と表現します)、2位が心疾患 14.1%、3位が脳血管疾患 6.4%であり、これらは、一般的に「3大疾病」と呼ばれています。

3大疾病
  1. 悪性新生物(がん)
  2. 心疾患
  3. 脳血管疾患

注目すべきなのは、50歳代から70歳代にかけては、3大疾病で死亡する割合が50%を超えており、60歳代で60.5%と最も多くなっているという点です。つまり、これまで健康に過ごされていた人がこれらの疾患によって、急に命を落とす可能性があるということです。

心疾患と脳血管障害による死因の多くを占める急性心筋梗塞や脳卒中ですが、完全に予防することは、今後医療がどんなに発達してもおそらく不可能です。できるだけ発症リスクを抑えるためには、生活習慣病に対する予防や治療を行っていくことが重要であり、50歳以上の多くの方が高血圧や高コレステロール血症、糖尿病の治療をされていると思います。

がんリスクの軽減のためには

では、がんになるリスクを減らすためにはどうしたらよいのでしょうか

死因で最も多いこのがんですが、心疾患や脳血管疾患と同様にすべてのがんに対する対策は難しいです。しかしながら、がんには、できやすい臓器というものがあります。その代表的なものが「5大がん」と称される胃がん・大腸がん・肺がん・乳がん・子宮がんです。
ここで強調したいのが、5大がんのうち2つが消化管がんであるということです。消化管とは、口から肛門までの食物や消化液、そして便の通り道であり、皮膚(体表)と同様に外界とつながっている管腔臓器です。その最大の利点は、肝臓や膵臓などの内臓(実質臓器)とは違い、内視鏡検査を行うことで直接観察することができるということです。

つまり、定期的に胃カメラ・大腸カメラをおこなうことで、胃がん・大腸がんは、早期発見することが可能となります。

胃がん・大腸がんは早期発見から予防の時代へ

胃がんとピロリ菌の関係
胃がんとピロリ菌の関係

胃にがんができる最大の要因と考えられているのが、胃のピロリ菌感染です。多くの方が名前くらいは聞いたことがあると思いますが、どのくらい胃がんのリスクになっているのかというと、実に胃がんの96~99%がこのピロリ菌が関与していると言われています。このなかには、ピロリ菌に感染している人は、当然ですが、以前に感染していた、つまり除菌治療が終わっている人も当てはまります。

なぜ、ピロリ菌がここまで胃がんのリスクになるのかというと、胃に慢性的な炎症を起こすからだと考えられています。長年かけてこの炎症を繰り返していくことで、胃の粘膜上皮(がんは通常、上皮と言われる表面の組織から発生します)にある変化、専門用語を使えば、腸上皮化生(ちょうじょうひかせい)が起こります。もっとわかりやすく言うと、がんが発生しやすい粘膜上皮に徐々に置き換わっていくということです。

ここまで、がん発生の原因とメカニズムがはっきりしているのは、胃がんだけではないでしょうか。これは、逆の言い方をすると胃がんは予防ができる可能性が高いことを示しています。
つまり、ピロリ菌に感染している人は、この変化が起こる前に、できるだけ早い段階でピロリ菌の除菌治療をしておけばいいということです。健診受診率の増加やピロリ菌の感染率自体の減少と除菌治療の普及によって、ようやく胃がんは、2016年頃をピークに緩やかな減少をしてきていますが、我々のような消化器の専門家からすると、まだ決して十分であるとは言えない程度です。今後、若年者でのピロリ菌の除菌が進んで、感染者が限りなくゼロに近づけば、そう遠くない将来、日本人の胃がんは極めて稀な疾患となっているのではと期待しています。

「胃カメラ検査を受けたことがなければ、まずピロリ菌検査が必要かをカメラで確認すること」、そして「ピロリ菌が陽性なら、早めに除菌をすること」、さらに「除菌を済ませても年1回の定期の胃カメラ検査を受けていくこと」が重要であると考えられています。

大腸がんと大腸ポリープの関係
大腸がんと大腸ポリープの関係

ピロリ菌が胃がん予防のキーワードであるとするなら、大腸がん予防のキーワードは、「大腸ポリープ」です。大腸には、がん化のリスクがある腫瘍性のポリープが出来ることが決して珍しくありません。10㎜以下の小さいうちは、ほとんどが良性ですが、その中から徐々に大きくなっていき、がん化していくものが存在します。つまり、そのポリープを良性の段階で見つけて切除をしておけば、将来的な大腸がんリスクを減らすことが出来ると考えられています。

その昔、私が消化器科医になったばかりの頃、小さなポリープでも入院で切除していた時代がありました。また、高齢者で良性の小さなポリープが見つかった場合、「ほとんどがん化しないのでそのまま様子を見ておきましょう」と説明して、切除をしていませんでした。さらに言うと、80歳を超えている人には、大腸カメラは、穿孔(腸に穴があく)の危険性があるとの理由で、積極的に検査を行っていませんでした。
時代は変わり、現在大腸カメラは、単に大腸がんを発見するための検査でなく、大腸がん自体を予防する観点から極めて有用な検査であるとの位置付けになってきています。10mm以下のポリープの多くは、クリニックでも日帰りで安全に切除ができるようになりました。

「がん化のリスクがあるポリープは小さなうちに切除をする」、「年齢によらず、お元気な方には、定期検査の大腸カメラを行っていく」そして何よりも、1回の検査で大腸がんが無いから大丈夫ではなく、年齢や家族歴、ポリープ切除歴など、その人の大腸がんリスクに合わせて、定期的な検査を行っていくことが重要とされています。

「総合内科専門医×消化器内視鏡専門医」がクリニックでできること

「総合内科専門医×消化器内視鏡専門医」がクリニックでできること

当院は、この3大疾病と5大がんに着目し、生活習慣病に対する指導や治療を行うことで心筋梗塞や脳卒中のリスクを減らしながら、5大がんの中の胃がん・大腸がんに対する予防のために定期的な内視鏡検査を行っていくことをコンセプトにしています。

「ひとつのクリニックでできるだけ多くの死亡原因となる疾患をカバーし、より健康で長生きできるためのサポートは出来ないか」と考え、総合内科専門医でかつ、消化器内視鏡専門医でもある私は、このクリニックを設立しました。
そのため、クリニックの名称も「胃腸科」や「消化器内科」ではなく、「内科・消化器内視鏡クリニック」としました。

胃腸科(消化器内科)として、お腹の症状に対する相談や定期的な内視鏡検査を受けに来て頂くだけでもよいですし、内科かかりつけ医(ホームドクター)として当院を利用して頂いてもよいと考えています。
ただし、医師の経験や技術にもよりますが、内視鏡検査のように、クリニックでも総合病院と同じレベルの診療ができる領域がある一方で、より専門的な検査や治療に関しては、ひとつのクリニックではどうしても限界があります。
これまでの臨床経験から、当院では、「できること」と「できないこと」を明確に分けて、必要に応じて専門医療機関や専門クリニックへの紹介を行う方針としています。

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